店主のブログ
新潟日報夕刊「晴雨計」に連載しています(11) 「それぞれの新潟」
こんにちは☆
日本で唯一の”佐渡ヶ島専門居酒屋”「佐渡の酒と肴 だっちゃ」
店主の喜多村さやかです。
2011年8月5日より、毎週金曜日、
新潟日報夕刊「晴雨計」欄にて、半年の連載をさせていただいております。
佐渡には新潟日報夕刊が配達されませんので、佐渡の方にも読んでいただきたくて、新潟日報さんに許可をいただいて記事を公開しております。
お店を開いてから実感した、佐渡と新潟の関係について書きました。
新潟日報「晴雨計」10月21日 「それぞれの新潟」
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※「喜多村」はビジネスネームです。地元紙なので本名で書いてます。
佐渡島民はみんな、
「佐渡ヶ島は新潟ではない」。
と、思っています。
”新潟県に住んでいる”ことはみんなわかっているのだけど、自分が新潟県民だとは思っていない。
それが佐渡島民。
住所を書かせれば「新潟県佐渡市うんちゃらかんちゃら」と書くくせに、
「ここは佐渡! 新潟は”船に乗っていくところ”!」だと思っている。
それが佐渡島民。
新潟本土にお住まいの皆さん、新潟ご出身のみなさん、すみません。
仕方がないんです、実際そうなんです。
新潟のみなさんは、同じだ、新潟だ、と言ってくださるのだけれども、佐渡に生まれ育った佐渡人は、新潟とは違うんだということが身にしみてわかっている。
弱者の理屈ってやつです。
方言が違う。
文化が違う。
歴史が違う。
ルーツが違う。
国内最大の離島、佐渡ヶ島。
明治維新直後まで「佐渡国」「佐渡県」「相川県」として独立行政単位だった佐渡は、廃藩置県を経て新潟県に編入された今も、海を隔てて隔離され、ぜんぜん新潟に順化しません。
新潟県は、新潟になる前は「越後府」という行政単位だったそうですが、新潟県が「越後、えちご、エチゴ!」と声高に叫んで新潟をアピールすればするほど、佐渡は「俺たちべつに越後じゃねーし」とすねて、そっぽを向いてしまいます。
(これは、元会津だった蒲原の方もそういう気持ちかもしれません)
一方、朱鷺の人工孵化や放鳥がうまくいって佐渡ヶ島が話題になると、「トキめき新潟」とか言って県の鳥を朱鷺にしてみたり新潟県の公式キャラクターを朱鷺にしてみたりして、「新潟=朱鷺」をPRしちゃうのが新潟県です。
佐渡ヶ島、知名度を活用されながらも、新潟に雑な扱いを受けてんじゃないのか?
となんとなく思っていて、新潟事情に詳しい人に聞くとやっぱりそうらしいので悲しいです。
新潟県の総人口237万に対して佐渡はわずか人口6万ですから、行政的に影響力が弱く、重視してもらえないみたいです…。
本土新潟の人にとっても、佐渡ヶ島は「海の向こうの知らない土地」なんだろうなぁと思うこともしばしば。
新潟は上越・中越・下越・佐渡の4地方に分かれますが、よく佐渡ヶ島、省略されます。
新潟の地図から佐渡が消滅しているのもよく見る光景。
佐渡産の食材が「新潟」の名前で売られているのを見ると、「新潟め~。佐渡を省略するくせに、おいしいところだけ持っていくんだからっ」と、ちょと悲しくなります。
で、すねた気持ちにもなるわけですが、新潟ってもともと県の成り立ちが”寄せ集め”なんで、佐渡に限らず地域性がバラバラなんですね。
戊辰戦争の敵味方が一緒に住んでいる新潟。
信濃川をはさんで関西と関東が共存する新潟。
廃藩置県の時に、「新しい潟」を中心にツギハギしながら作った新しい行政単位、それが新潟県。
新潟県下のあちこちの地方のご出身の方がだっちゃに来店されますが、自分の地域について皆さん一家言お持ちなので、お話を聞くのが楽しいです。
佐渡のお店で新潟談義。なかなか盛り上がります。
人気番組「秘密のケンミンSHOW」の感想で、「●●県ってくくってるけど、あれは××地方だけの話でうちの地元は違うんだよね」というのもよく聞くし、新潟に限らず、長野のお客さまの話を聞いても静岡のお話を聞いても、「”●●県”って一言でくくらないで!」っていうのはよくある話なんだな、というのが腹に落ちて、「県民性」「地域性」をテーマにおしゃべりするのが楽しくなりました。
粟島出身の人、だっちゃに来ないかなぁ。粟島の人がどんな風に思っているのか聞いてみたいな~。
※単純化した文章なのではしょってますが、店主は幼い頃に塩沢・六日町に住んでいたことがあります。幼稚園のころだからあんまりカウントできないがー、実際には「本土新潟」在住経験があります。